価格が高いと感じる心理とは?
価格を検討する際、キーとなる要素は、それが適正な価格に思えるか否かという点だ。
購買に伴う痛み(支払いに際し、脳内で起こる痛み中枢の活性化)は、価格が高すぎると感じたときに増大する。しかし価格を計る方程式はどのように機能するのか?その答えは「錨をおろすこと(アンカリング)」にある。
消費者の商品への適正価格は変動する。
消費者による価格設定の適正基準の中には、変動しにくいものもあり、関係のない要素がこうした消費者による適正価格に影響を及ぼす場合もあります。マーケティングが価格設定の仕組みを理解していれば、それだけクリエイティブかつ効果的な価格設定・価格戦略を展開できます。
日常的に対処している、変動制のある価格設定のシナリオを見てみましょう。ガソリン価格の変動です。過去に1リットル160円を超える価格の急騰が起きたことがあったのをご記憶でしょうか?これは私たちには新たな基準値です。価格表示に「6」という数字を初めて見たとき、脳は痛みを記録したに違いありません。ガソリンの価格として1リットル140円払うことにかろうじて慣れてきたところだったのにです。
しばらくすると、人々の自身による適正基準はリセットされ、1リットル160円はもはや例外ではなくなり、目にする価格はたいてい165円という状態になったとすれば、1リットル160円はお買い得を記憶されるでしょう。1リットル155円で提供しているガソリンスタンドを目にすれば、わずか数ヶ月前なら高すぎる
価格に思えたでしょうが、さっそく入って「お買い得品」を利用せずにはいられなくなるのではないでしょうか?
ガソリンはほかに類を見ない商品で、私たちはガソリンの価格は変動するものだと思っており、スタンドを通りかかるたびに、現在の価格設定に関するフィードバックを絶えず、することになります。この商品に関しては、私たちは常に商品の価格設定をし直しているのです。
不動産の消費者による適正価格は変動しづらい
価格が変動しづらいアイテムもあります。
新しい土地に引っ越した人が家を買う場合、以前暮らしていた場所より不動産価格の相場が高いにしろ低いにしろ、その土地の価格設定に慣れるまでにおよそ1年かかるのだとか。引っ越してすぐ新しい家を買った人は、前の土地で家を買ったときと同じだけの金額を費やす傾向にあったそうです。
適正価格がもっとあいまいなアイテムについてはどうでしょう?
滅多に買わないアイテムの場合は、購入を検討し始めるときに消費者の中で適正価格が形成されることもあり得ます。大型のテレビを買おうと思った場合、家電量販店ベスト・バイのチラシに載っている11万円のテレビに目を留め、気にいるかもしれませんんが。今度はその価格が適正基準となり、ほかの提供価格が評価されることなります。
消費者の心理による価格設定
実験により、被験者に無作為の数字を思い浮かべてもらうと、その数字は被験者がさまざまなアイテムに対して支払ってもいいと思える価格に影響を与えることが明らかになりました。無作為の数字が数字が大きければ大きいほど、支払ってもいいと思える価格は高くなります。
例えば、コードレスのキーボードといった馴染みのない商品に対し、被験者が思い浮かべる無作為の数字が、結局は支払おうと思える価格に影響を及ばしていました。
価格設定をする際には用心する
ある商品を商品カテゴリーに対し、顧客が特定の価格予想をしている場合があります。 ある商品を顧客の予想よりも低い価格でそのカテゴリーに持ち込むことができれば、魅力的なオファーとなるはずですが、自社の商品が「高級価格」である場合、できる限り低価格商品から切り離すことが重要となるのでしょう。
興味深い挑戦は、顧客の側に明確な適正価格が確立されていない、新しい商品にどう取り組むかです。
商品の適正価格は、設定に切り替えが可能であることを示していて、マーケターは、うかつに低いアンカー価格を設定しないほうがいいでしょう。最初に「高めの適正価格」を設定できれば、設定を低めに切り替えた時のオファーは顧客にとって魅力的なものとなる。
高い価格を呈示し、すぐに低い価格にする
アップル社のiphone導入は、アンカー価格を活用して強い需要を維持した良い例です。同社が初代iphoneを発表したときの価格帯は44000円から59900円。これまでにないユニークな商品に支払うべき最初のアンカーがこれで設定された。
そのわずか数カ月後、アップルは価格を20000円に下げ、買い得感に見せかけ、19900円という低価格を設定し、三日で100万台を売上ました。
マーケターが最初に高い価格を設定するのが大きな理由がある。
大きな理由の一つは、ある商品の市場において、まず、それだけの金額を払ってもいいと思っている部分から高額を要求し、その後、価格を下げてより多くの顧客にアピールする。新商品の対するこの対策の利点は、顧客の気持ちの中に高いアンカー価格が設定され、その後値下げするたびに、買い得感が増すことです。
インフォマーシャルと適正価格の設定
適正価格の設定について理解していると思われるマーケター集団は、成功を収めている、彼らのほとんどは、ユニークな商品や視聴者に馴染みのない商品を紹介するのが常で、高い適正価格を設定しようと努めている。
「デパートで買えば、この手の商品は20000円するのですが・・・」 彼らはこんな風に切り出し、それより低い価格で商品を提供します。
そして次のプロセスをとして特典をつけるのがおきまりのパターンで、実際の提供する商品の新しい価格設定が、さらにお買い得に思えるようにしているのだ。
宣伝が終わる頃には、商品の提供価格が当初よりはるかに下がっているだけでなく、当初よりはるかに多くの商品を含んでいる(あるコマーシャルでは締めくくりとして、「今から20分以内にお電話いただいたお客様」向けに500円の値引きを提供していた。既に確立していたアンカーよりもさらに好ましいオファーをし、あともうひと押し売り込みをかけているのだ)。
マーケターであればどんなタイプであれ、成功を収めているマーケティングのテクニックを研究してしてみても損はしないでしょう。マーケティングが生きるか死ぬかは、コマーシャルやカタログ、ウェブサイトの成功にかかっています。ある売り方が何度も繰り替えされているのを目にしたら、上手くやっている証拠だと思って間違いないでしょう!
顧客心理を掴む価格設定の方法のまとめ
顧客は競合商品によって適正価格を決めている
顧客のアンカー価格を見極めて価格設定する
新しい価値・サービスによって比較する価格をなくす
高い価格帯の商品を作り、安い商品との比較で誘導する
高級な商品を比較対象にする
顧客は競合商品によって適正価格を決めている
ハンバーガー・やきとりなど、流通の多い商品ほど顧客の心理に基準となる価格が決まっている。商品の価格の基準となるものをアンカー価格と呼びます。
顧客のアンカー価格を見極めて価格設定する
価格設定する時は、顧客の予想より低い価格に持っていければ良いのだが、自社の商品が高級である場合は慎重に価格設定をするべきである。
新しい価値・サービスによって比較する価格をなくす
付加価値であるサービス・イメージを最大限にアピールすることにより、比較対象となる商品をなくし、新たな価格の基準アンカー価格を作る立場になる。
高い価格帯の商品を作り、安い商品との比較で誘導する
昔からある手法「松・竹・梅」を用いて、価格の高い商品と低い商品を作り、価格の差の理由を明確にして高額商品の付加価値を高めるとともに、竹に誘導する。なお、竹の利益率を高く設定することも忘れてはならない。
高級な商品を比較対象にする
その他にある高級商品を比較対象とすることで、商品の価値を高めることが重要です。
例としてあげられるのが「ハンバーガー」と「ハンバーグステーキ」です。例えばポテト・サラダ・ドリンク・ハンバーガーのセットを1000円で売るとなると相当のクオリティが求められます。
しかしハンバーグステーキであれば価値基準が高級なイメージの「ステーキ」に寄っているため、先と同じようなパン・サラダ・ポテト・ハンバーグのセットであってもさほど高さを感じません。
このように高級な商品を比較対象に引き上げることで、適正価格を作ることができます。