高い方が売れる?目から鱗の価格設定の方法

高級品は値下げしてはいけない?

ワインの味見で、あるワインを飲んでいる人たちが語る感想は、その人がもっているワインに関する知識に影響されると思いがちですが、高価だと認識されたワインは、本当に、安価なワインよりおいしいと認識されているとわかったら、皆さんは驚きますか?

一本500円ではなく4500円にワインを飲んでいると思っているときのほうが、人間の脳はより大きな快感を覚えることが実証されています。実際に飲んでいるのは安いワインであるにも関わらずにです!脳は面白いですね・・・。

重要な点は、調査において被験者が、適当なことを言っているのではないか、又は、彼らがあるワインについて、「値段が高いと知っているし、バカだと思われたくないから」おいしいと答えているわけではなかったのです。

彼らは本当に4500円のワインのほうがおいしいと思ってワインを味わっているのです。

脳は高いモノをありがたがる?

価格は、その商品との体験を実際に変化させます。

研究者たちは、被験者がワインを味見している間、MR Iを使って脳の活動をモニターして、ワインを一口飲むたびに被験者の脳がどのような反応をするか観察してみました。認識が価格に左右される商品はワインだけではありません、別の実験では、高い金額を払って栄養ドリンクを購入した人は、同じ商品を割引価格で購入した人より、実際にパズルを早く解けることが判明しました。

値段が高かったほうが効果も高まるということですね。

高いものの方が満足度が高く、高いとストレスになる矛盾

さらにもう一つの実験では、被験者に鎮痛剤のを渡して、一回分の料金は250円と伝えると、85パーセントの人は痛みが軽減したと報告しましたが、一回分10円と伝えると、61パーセントの人しか痛みの軽減を報告しなかったことが判明しました。もちろん有効成分は含まれていません。

ここで売り手にとっては難しい問題が生じてくるわけで、商品の値段が高すぎると認識すると、人は支払いの痛みを感じるようになり、その商品を購入する可能性が低くなることがわかってしまいました。

しかしその一方で、今度は複数の研究によって、ある商品に対して多く支払っているほど、人はその商品を堪能していることが証明されてしまったのです。売り手はプライスポイント(大部分の客が買いたくなる価格帯)をどのように決めればいいのでしょうか??

価格設定に対するこれら2種類の神経の反応は必ずしも矛盾しているわけではないようです。

実験でワインを飲んだ人たちが仮にスーパーマーケットに行かされ、研究所に来る途中でワインを買ってきてくれと頼まれていたとしたら、彼らはワイン一本に高すぎる代金を払うことにきっと脳の痛みを感じたはずです。

ワイン愛好家でもない限り、より安価なワインを選んでいたでしょう。

「高価なモノ」が満足感を押し上げるのは、それを購入し、浪費した後なのです。ともあれ、売り手は相変わらず同じ問題に直面しています。消費者に受け入れられ、なおかつ利幅と売上高の適切なバランスを生み出す価格の設定に悩むのです。

ディスカウントは慎重に安売りは満足度を下げる

要は、高級品や高級ブランドにとって、価格もブランド体験の一部だと売り手は理解する必要があるということです。

私たちはかつて立派だったブランドが供給過多やディスカウントの横行によって崩壊していく姿を見てきました。消費者が実際にいくら支払うかどうかは問題ではないのです。

前述の実験に参加した被験者は、自分が味見したワインに1円も払っていないが、それでも効果なワインの方が美味しかったと述べているのです。この効果は、ある商品に、ある一定水準以上の価格がつけられていると、消費者が信じでいるときに生じます。

もし誰かに一本10000円のワインをもらったら、それなりの味がするといって飲むでしょう。ワインショップで同じワインに間違った値段がつけられているのを見つけ、1000円で買い求めたとしても、おそらく10000円のワインに思えるだろう、と同時に、購入に伴う痛みを大幅に軽減できたはずです。

その10000円のワインが大容量のビンに入って1000円の値がつけられ「大特価:9000円引き!」と書かれているのを目にしたら、多少の疑念が生まれるでしょう。

「今年は出来が悪かったのか?」「店がケースを暖房装置のわきに置いてしまい、気づいたらワインが悪くなっていたのか?」「ワイン専門家にひどいレビューをかかれたのか?」

こういった疑念により、このワインに対して感じていた知覚価値が下がるに違いないと思いませんか?もし「新価格、お安く1000円でご提供」と宣伝されたら、脳はきっと、このワインは一本10000円の味はしないと確信を強めてしまいます。

価格設定はポディショニングとターゲッティングで決める

商品に対し、顧客に十分アピールできる程度に高く、それでいて大量に売れるだけの低い価格をつけるという、バランスの取れた複雑な価格設定をやり遂げるのは簡単ではではありません。

それを見極めるには、他社製品との価格比較をまず行ってみると良いでしょう。その他品質の評価なども参考になりますが、まずは数字で明らかになっているものを調べ自社製品が高いか安いかを見極めるべきです。

その上で品質はどのレベルにのか?というのを競合他社と比較しランキングにして自己評価と客観的評価を照らし合わせてみると良いでしょう。
自己評価よりも、顧客の評価が低い場合往往にして魅力が伝わりきっていない事になります。

値段を下げずに価値を上げ安いではなく、お得と思わせる

既存の商品でも商品の魅力を伝え切らずにいるため評価の低いものが埋もれています。職人気質の人にはこのパターンが多く職人の方が「当たり前」と考え行っていることは、顧客にとっては価値のあるものの場合が多いものです。

例えば日本食の板前にとってカツオと昆布の出汁をひくのは「当たり前」の事ですが、大手チェーン店などがちゃんと出汁を引くのは稀な事です。こうした些細なことすら、価値を高める要素となります。分かる人にだけ分かればいい。という考え方もありますが、お客様を分かる人に育てるのもまた職人のおもしろさではないでしょうか?

 

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